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これまでご出演いただいた客演の皆さんと

対談していこうというこの企画

「劇の人のはなし」。

その第二弾のお相手は螢雪次朗さんと片山誠子。

役へのアプローチ方法から、作演出の宇田への印象、

貴重なアドバイスまでまだまだたくさんお話はつづきます。

​最後までどうぞお楽しみください。

前編へ

――『GIFT』を上演した中野の劇場は、私たちもびっくりするくらい楽屋が狭くて、そこもご負担をおかけしましたが…
 


  僕はどっちかっていうとああいう(小劇場)ところのほうが多いですよ。マイナーな世界、みなさんが絶対知らない世界を知ってますから。ストリップ劇場とか、寄席、演芸場とか、キャバレーとか。同世代の俳優でも、そういう世界を一通り経験しているのは僕しかもういないと思う。もう、無いしね、キャバレーとか。
 


片山 キャバレーってどういう事をするんですか?
 


  ステージがあってバンドがはいって、歌手が歌う。コントが入って、マジックがあって。でまた歌があって、っていう、ショーがあるのがキャバレーです。
 


片山 螢さんはコントをされるんですか?
 


  そうです。ぼくらはダンサーと一緒にショーをやったり、コントをやったりするわけです。面白いですよ。
 


片山 へえ!そうなんですね!お芝居をしていて、役者さん以外との交流ってなかなかないので…あ、でも次の公演にはダンサーさんが出ます!
 


  踊るの?あなたも?
 


片山 いや、私は。。どうでしょう。。
 


  踊ってほしいなぁ!
 

片山 えーー!(笑) 

――本番や稽古で何か印象的なエピソ―ドはありますか?
 

片山 私は、本当に螢さんと絡ませて頂けたのがすごく嬉しくてありがたかったです。役得です。
 


  あれだけのセットを作って、人力だけれどもそれを回して。回り舞台のようなことをね、小劇場でやるんだ!?と思って。宇田さんももうちょっと大きいところでやりたかったんじゃないかなぁ。大きいところでやったら照明も映えるし、効果は大きかったんじゃないかなと。でも中野のあの小さい劇場で充分にやったんじゃないかなと思います。ミスらしいミスもなく、細かいきっかけで早い転換にみんなついていって。

女性たちも衣装や小道具の作業とか、みんな労を惜しまずチームワークよくやってたし。劇団ってそういうもんだけど、僕も若い頃の劇団にいた当時のことを思い出して、微笑ましく思いました。

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舞台『GIFT -Love begets love-』の劇中小道具。

左:螢さん演じる組紐職人、磯吉が操る丸組紐台。

右上:組紐の帯締め。

右下:組紐ブローチ。なんと片山の手作り。

片山 色んな事がギリギリで…ご迷惑をおかけしました…!
 


 (笑)
 


片山 まだまだ私たち、未熟者で…螢さんが、衣装とかもご自前でご用意されてるのとか拝見してとっても勉強になりました。
 


  これだけ長くやっていると、自前の衣装がたくさん溜まってるんでね。あの爺さんの衣装もほぼ自前でいけたもんね!
 

片山 ご用意いただいたの、イメージどおりで。役を作るというのが服装とかそういうところから作っていくんだ、と。きっと若い劇団員も勉強になっているかと思います。
 


  例えば、その時使えなくても、街で靴やメガネや面白いものを見つけた時に、いつか使えるかもしれないな!と思って買っとくんですよ。舞台だけじゃなく、映像でも衣装合わせで持って行って、監督に自分はこういうイメージなんだと、衣装も含めて自分はこの役をこういう風にやりたいとアピールするのは、やっぱり大事ですよ。こういう衣装を着てみようかなとか、それも役者の楽しみのひとつでね、お芝居だけ上手になればいいんじゃないんだよね。自分なりに楽しまないと。そうする事で、その役が愛おしくなるんですよ。
 

片山 ステキな言葉。。本当に勉強になります。

――宇田の演出はどんなイメージですか?

  自分で書いて自分で演出するので、ビジュアル、絵が浮かんでるんですよね、それに合わせてああしたい、こうしたいと思ってるんだろうなと。宇田さんは、音楽とか、照明とかもイメージしながら、ずっとパソコン開いて演出していて、アーティストなんですよ。こんな演出家もいるんだなぁ、と思いました。僕たちの時代の演出家といえば、缶のPeace(タバコ)をくわえながらね、カ――ッと、違うんだよ!もう一回やってみろ!と、そういう演出家が僕らの教わった演出家なんですよ。

 

 

片山 話には聞きます、そういうイメージがありますね。

  僕は宇田さんにはぜひ、全く違う作品も演出してみてほしいなと思いますね。例えば日本の、昭和初期の、自然主義的な作家の本をどんな風に演出するのか見てみたいなと思いました。そういえば『ORANGE』を拝見して、俳優としての宇田さん、面白い役者だなぁ!と。コテコテの関西弁の宇田さんの芝居をやるチャンスがあったら楽しいだろうなと思いましたよ!この本、ぼくも一緒にやるから、宇田さん一緒にやらない?とお誘いしようかな。あるいは僕が書いて。

 

 

片山 それ見たい!!

  先日、ごごナマ(NHK情報番組7/31放送)でも少し流れたんですが、昔「螢雪次朗一座」というのをやっていたんですよ。それをまた「新 螢雪次朗一座」としてやってみたらどうかなとふと思ったの。今、コントのアイデアが三本くらい急に浮かんじゃったの。そこに宇田さんも一人入れてね、あの人役者として面白いキャラクタ―だからね、学ランを着せて、チビのくせに威勢のいい高校生の役!なんじゃいコラ!とか言って。反対側にはツッパリの女子高生、すごいおばさんにやらせて。僕は、間に入る先生で。

 

 

片山 螢さんもぜひ学生で!生徒会長とか!

 

 

  それだね!「やめたまえ、君たち!僕は生徒会長だ!」

 

 

一同 (笑)

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  そう、僕は思うんだけど。若い人たち(劇団員)が中心になって、宇田さんの作演出だけではなくて、自主公演でもいいからやるべきだと思うんですよね!ピープルパープルのお客さんに向けて、こういうのはどうですか?と。裸舞台でもいいしお金かけなくていいから、自分たちはこういう事がやりたいんだと、特に若い人たちはそういう事をいつもいつも考えているっていうのが大事だと思うけどなぁ!みんな力あるし!そういう自主公演みたいなのをやって欲しいなと、僕のお願いです。そうすると劇団自体も活性化されますよ!
 

――片山は、自主公演やろうと劇場おさえてるんですよね?
 


片山 そうなんです、それを実現させたいです。そして螢さんと、またご一緒できるように頑張っていかないと。
 


  僕、本当に楽しかったんで。
 

片山 嬉しいです!
 


  ピープルパープルが宇田さんの本じゃないとやらないです、っていうのじゃなければ、僕も機会があれば、こんなのやったらどう?とか申し上げたいなと。一本一緒に芝居をやった仲間なんだから、僕こういう役やりたいんだけど!これピープルパープルでやりませんか?と、そんなことも提案できたらいいなと思いますよ。
 

片山 じゃあまたランチにお誘いしていいですか?…いや、夜の飲みにお誘いのほうがいいですかね!
 


  そうですね!大事に使って僕もあと20年、普通に使ってあと10年…
 

片山 いやいやいや、大事に使って頂いて、劇団40周年の公演に是非。。!
 


  いいですね!
 

片山 私たちもまだまだ、これから頑張っていきます!!劇団30周年、40周年…!ぜひ今後もよろしくお願いします!!
 


――最後に、これを読んでくださるお客さまにメッセージを頂けますか?
 


  ピープルパープルのチームワークだと思うんですけど、バランスがとってもいい劇団だと思ってます。お客さまにはぜひそういうピープルパープルの俳優さんたちを見てほしい、これからを期待してほしいと思います。年齢も、20〜40代、若い役もできるし老けることもできる、皆さんがちょうどいい時に差し掛かっていて、みんながどんどん演技者として力をつけている時。だから今、貪欲にいろんな事を学んでほしいし、いろんなとこに足運んで、いろんな人と接してほしい。僕もその世代の頃には色々動きましたよ、大きな声で言えないところに行ったり。犯罪は犯さないですよ!でも、かみさんには言うなよっていうようなところとかね、男ですから。
 


――ぜひ録音していない時に具体的に聞きたいですね(笑)
 


 (笑)。でも、人間は表の顔と裏の顔と、特に役者はね、両方併せ持ってひとつの顔ですから。清濁。善の顔と悪の顔と、両方持ってないと、両方できないと面白くないですよ。そこが僕らの仕事の面白いところですよ。宇田さんがこれからも面白い本を書いてくれて、劇団の人が幅広い役を演じてくれたらいいなと思います!

片山 ありがとうございます!頑張ります!

 

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おわり

2019-08-30 FRI

(写真撮影:森下ひさえ)

螢 雪次朗(ほたる・ゆきじろう)さんのプロフィール

1951年8月27日埼玉県生まれ。

高校卒業後、劇団東京アンサンブル付属俳優教室を経て、同劇団に入団し、1年で退団。その後多くの映画の端役を経て、80年代に滝田洋二郎、片岡修二、渡邊元嗣らの作品を中心にピンク映画に出演し、映画マニアの評価を得る。

’84年にルパン鈴木氏とコントグループ「螢 雪次朗一座」を結成。『ザ・テレビ演芸』に出演し、11週勝ち抜きをして注目されるが、’89年に解散。

その後、本格的に役者として映画、ドラマ、舞台など幅広く活躍する。

’90年、『病院へ行こう』の“定”役で好評を得て、’95年『ガメラ 大怪獣空中決戦』の“大迫警部補”役で広く知られるようになる。

2019年9月27日には映画「宮本から君へ」と10月4日に映画「牙狼-月虹ノ旅人」が全国公開される。

theatre PEOPLE PURPLE 2019 夏公演

新作「STRANGE  CLAN」

2019年8月29日(木)~ 9月1日(日)

会場 池袋・あうるすぽっと

脚本・演出  宇田学

​前売​一般発売 7/27(土)10:00

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