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これまでご出演いただいた客演の皆さんと

対談していこうというこの企画

「劇の人のはなし」。

その第二弾のお相手は螢雪次朗さん。

2018年に上演したクリスマス公演

『GIFT-Love begets love-』にご出演いただきました。

粋な江戸っ子組紐職人、磯吉を素晴らしい存在感で演じられました。対談相手は同作品で主人公を演じた片山誠子。

大先輩の螢さんから貴重なお話をお聞かせいただきました。

――お二人の、役者を始めたきっかけからお聞きしていいですか?

 

  四歳上の姉の影響ですね。姉はね、女子高の演劇部で演劇を学んで、卒業後は地域の劇団に入って熱心に演劇活動をしておりました。僕はかなり影響を受けて、芝居や映画を観るのが何より好きになってしまい、観るより自分でやるように…という具合です。

 

 

片山 私は子供の頃、親に連れられてよくお芝居を観に行ってました。子供向けの、シンデレラとか長靴をはいた猫、劇団四季のお芝居だったんですけど、観てるうちに、私はあの役がやりたい!と思うようになって。中学に入った頃には、お芝居の道に進もうと心の中で決めてました。高校で演劇部に入って、卒業と同時にフリーの役者として小劇場で活動を始めて、いろいろな舞台に立たせて頂きました。宇田さんが、私が出ている舞台を見てくださって、スカウトされたのがきっかけでピーパーに入って今に至ります。

 

 

――螢さん、初めて劇団稽古にお越しいただいた時の劇団のイメージはどうでしたか?

 

 

螢  特別変わった印象はないですよ、変な人たちだなというイメージはなかったです。

 

 

片山 良かったです。(笑)

 

 

 僕も変なおじさんだなと思われないように…

 

 

一同 (笑)

 

 

片山 いえいえ!(笑)

 

 

  なるべく構えずに楽にお話ししようと思ったし、劇団員もフランクに接してくださったのでお互いに程々いい感じの距離感だったんではないかなと思いますよ。
 

片山 フランク過ぎて失礼な事はなかったですか!?
 


  無かったですよ!(笑)
 


片山 よかったです!

 

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―片山さんは螢さんの第一印象、どうでした?
 

片山 私の螢さんの第一印象は、事務所に伺ってお写真撮らせていただいたのが初めましてだったんですけど、イメージしていた通りの方だなと。螢さんのお写真をみて、優しさが滲み出ていてそのとおり、優しい方だなと思いました!お会いして怖かったらどうしようって。(笑) でもお会いしたら朗らかで優しい方で。
 


  その時、宇田さんもいらして、『GIFT』(螢さんにご出演いただいた2018年12月上演のクリスマスの物語)の台本について聞いてもらいまして。爺さん(螢さん演じる、江戸組紐の職人)がしゃべる江戸っ子の言葉使いとか気になることがあったんで。そういうの、ある意味僕のわがままかと思ったけど、こういう時のセリフはこういうほうがいいよとか、こういう時はこう言うんじゃないかっていうアイデアを宇田さんは受け入れてくれたんです。江戸っ子の喋り方をする爺さんは今はあまりいないけど、そういうキャラクターを作るということには想いがあったので聞いて頂く機会をつくってもらい、そこで誠子さんにもお会いしました。

 

―劇団としては、まさか、螢雪次朗さんにご出演いただけるなんて!という驚きがありましたが、出演を了承して頂けた決め手というのはありましたか?
 

  あの爺さんの役が面白いと思ったからですよ。
 


片山 そうなんですね!台本を読んで頂いて…なんですね!
 


  はい。あの爺さんのキャラクターが面白いな、やってみたいなと思ったのが一番の強い動機ですよ。だからこそ、爺さんのセリフや行動なんかを自分がやるならこういう風に膨らませたいというアイデアがいくつかあったので宇田さんにぶつけたと。まぁ、そういうことです。

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舞台『GIFT -Love begets love-』のチラシ。​イラストは片山誠子が描いた。

――作品『GIFT』についてはどんなイメージをお持ちですか?


  奇をてらったところがなくてとても素直に読める作品でいい話だなと思えました。とても映像的だなと思いました。え?これ、舞台の作品なの?と。映画みたいに、ワンシーン終わったら次のシーンへと移りかわって、ユニークな作品だなと。映画かドラマのために書いて、それを舞台にしようと思ったのかなと思ったけど、もともと舞台のために書いたんでしょ?
 


片山  そうですね。
 


  そのまま映画になりますよ、あれは。
 


片山 じゃあ映画化の際には是非また螢さん。。
 


  いや、もちろん。一度やった役は他の人にはやらせたくないよね!やるなら私が!って思うよね。
 


片山 そうですよね!私もいろんな人達の物語が同時に進むので、ドラマや映画を見てるような感覚になる作品だなと思います。私はその中で結婚の約束をした彼を亡くして、忘れられずに生きている女性「真奈美」の役を演じたんですが、私の中で私だけの裏設定があって。

 

こんなにも彼がまた目の前に現れるんじゃないかと思いながら過ごしてるのはなんでだろう、って考えたんです。

そこで思ったのが、一緒に事故にあったんじゃないかって。二人とも病院に運ばれて、意識が戻った時には、彼はいなかった。周りから彼は亡くなったんだよと聞かされるけれど、私は彼の遺体は見ていないし、さっきまで笑って隣にいたのに。だからまだ上手く彼の死を飲み込めなくて、螢さん演じる磯吉さんに彼のことを話す事で自分で認めていき、磯吉さんの言葉に背中を押してもらって、前に進めるようになる。私が演じた真奈美は、そういう女性でした。

私だけじゃなく、いろんな想いを抱えて生きている人達の物語、それが『GIFT』だと思います。

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――お二人の絡みのシ―ンも多かったですけど、シ―ンをつくるにあたり、何かお話されたりしましたか?
 


  ……しましたか?
 


片山 ……話。。
 


――記憶を掘り起こして頂いて…
 


片山 螢さんの奥さん役の桃山みつるさんも、同じシーンにいらして。本当に可愛らしくてちょっと天然で。。癒されたなぁという印象が強くて。。(笑)
 


  誠子さんと特別このシーンをこういう風にしようとか殊更、役者同士が話さなくても、しっかり本に書かれていたというイメージですよね。宇田さんの本はとても丁寧に書かれていますから、俳優が本に書かれていることをそのまま素直に受け取ればしっかりその場面が出来上がるものになっていたと思います。シェイクスピアとかチェーホフとか、俳優がこれどういう事を言ってるんだろうと悩んでしまうこともあるけれど。本の作り方も人物も等身大で役者はその役を演じるにあたって、理解できないとか、そういう事で苦しんだりすることはないと思うんですよ。
 


――奥さまの役の桃山みつるさんとは例えば、こんな夫婦だね、とか…何かお話されましたか?それも自然体で流れるままに、といったつくり方だったんでしょうか。
 


  ここ、こうしましょうかということくらいは最初にお話ししたくらいで、あの夫婦の関係もちゃんと本に書かれていたと思います。だから、話し合って、お互い確認しなければ!みたいなことは無かったし、しなくても自然に場面に入っていけたと思います。次回の新作『STRANGE CLAN』はそういうわけにはいかないでしょ?(笑)  舞台がイギリスだし!
 


片山 そうなんです!舞台が海外だし、日本人でもないし…時代も今じゃなければ、変わった登場人物が多いし!
 


 『GIFT』に関してはそう意味でも苦労はなかったですし。
 


片山  ご負担をかけたとすれば…ご出演の依頼を直前に出した事…くらいですかね!?
(※舞台の出演依頼は少なくとも半年前くらいにお声掛けするのが通常のところ、螢さんには本番の1ヶ月前くらいにお声かけしたのでした!)

 


  本を頂いた時から、この舞台やりたいなと思ったんで。1ヶ月前でしたけどね!(笑)
 


片山 ありがとうございます。。!

​(後編へつづく)

螢 雪次朗(ほたる・ゆきじろう)さんのプロフィール

1951年8月27日埼玉県生まれ。

高校卒業後、劇団東京アンサンブル付属俳優教室を経て、同劇団に入団し、1年で退団。その後多くの映画の端役を経て、80年代に滝田洋二郎、片岡修二、渡邊元嗣らの作品を中心にピンク映画に出演し、映画マニアの評価を得る。

’84年にルパン鈴木氏とコントグループ「螢 雪次朗一座」を結成。『ザ・テレビ演芸』に出演し、11週勝ち抜きをして注目されるが、’89年に解散。

その後、本格的に役者として映画、ドラマ、舞台など幅広く活躍する。

’90年、『病院へ行こう』の“定”役で好評を得て、’95年『ガメラ 大怪獣空中決戦』の“大迫警部補”役で広く知られるようになる。

2019年9月27日には映画「宮本から君へ」と10月4日に映画「牙狼-月虹ノ旅人」が全国公開される。

theatre PEOPLE PURPLE 2019 夏公演

新作「STRANGE  CLAN」

2019年8月29日(木)~ 9月1日(日)

会場 池袋・あうるすぽっと

脚本・演出  宇田学

​前売​一般発売 7/27(土)10:00

後編へ

2019-08-30 FRI

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